●ポイント1
建主は自分の価値観を整理して伝える。





住まいを建てる際に建主が、まず決めておかなくてはならないのが、自分の”モノ”に対する価値の基準です。生活の価値観と意識、暮らしのリズムを、きちんと建築家に示さなくてはなりません。それによって建築家の提案内容が変わってきます。つまり建主がこだわり、大切にしているモノは何であり、不要なモノは何か、何をあきらめるかの方向性、基準線を決めます。必要順に番号を付けて伝えるのもいいでしょう。建築家はこれを受けて「家の構造→構造から各部分へ→各部分から施工方法へ」と住宅を解体していきます。ローコストであるほど、この作業は詳細をきわめます。具体的に言いますと
・材質はどういうものを使用するか、どのくらいの大きさ、厚さにするか?
・そのグレードは?
・クギの大きさ、太さ、本数は?
・打ち方はこれでよいか?といった検討を試みます。次に与えられた条件(方向性,基準線)によって、解体したものから再構築していきます。この作業において私たち建築家は、具体的にどんな形でどんな色を採用し、どんな材質を使うかを取捨選択します。経験が必要で、労多く根気のいる仕事です。この作業を経なければ、質の高いローコスト住宅は実現しません。またこの方法こそが、建主と建築家の信頼関係を築く道でもあると思います。


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