●方法3
家は家族とともに育つ。引っ越し日が家づくりの始まりの日だ。





竣工→引き渡し→引っ越しの「家」の状態が、到達点ではなく、まさに出発点であることはわかっていただけたと思います。「家」にとっても、住む家族にとっても、引っ越し第一日が、始まりの日なのです。
 物理的にも、竣工直後の「家」はまだ完全に完成されていません。新築の家は、しばらくの間は、部分、部材が、収縮したり、軋んだりして、いわば産声をあげています。また、どんな綿密な設計が行われても、実際の細部では若干のくい違いがどうしても生じます。
 そうした細部に手を入れ、工夫をこらし、「家」は徐々に住む人になじんでいきます。「家」は生きています。そして家族と共にに育っていきます。「家」は自分の傷や痛みについて何も語りません。ただ雨が漏れてきたり、壁がはがれたりして、無言で訴えるだけです。そんなガマン強い奴が家族の中に,一人いるんだと世話を焼き、仲良くつき合って暮らしてほしいわけです。
 受け身でなく、家に住まわせてもらうのではなく、積極的に住みこなすように家、暮らしをデザインしてください。

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